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【Amazon Business Summit 東京 レポート】3社が語る購買改革の成果と、いますぐできる調達×AIの具体例

Amazonビジネスは、2026年2月19日(木)、Amazonビジネスの導入や利用拡大を検討する購買・総務・経理部門などの担当者に向けて「Amazon Business Summit 東京」を開催しました。定員100名に対し130名超が来場した当日は、Amazonビジネスを全社導入している3社によるパネルディスカッション、Amazonビジネスのサービス紹介、そして調達業務のAI適用をテーマにした特別講演が行われました。本稿では、パネルディスカッションと特別講演の要点をダイジェストでお届けします。

Amazon Business Summitとは?

Amazon Business Summitは、企業の経営や購買に携わる方々が知見を高め、業務改革・改善を実現するためのビジネスカンファレンスです。「購買改革」をテーマに、様々なお取り組みを進める先進企業のお話を伺い、調達・購買部門が直面する課題について議論する場として位置づけられています。

Amazonビジネスの現在地

冒頭、Amazonビジネス事業本部 コマーシャルセクター営業本部長の鐸木 恵一郎が挨拶に立ち、日本でのサービス開始から約8年半を迎えたAmazonビジネスの現状を紹介しました。

毎年100以上の機能アップデートを重ねていることや製品ラインアップの拡充に触れたうえで、「主な導入目的は業務効率化、ガバナンス強化、コスト削減です。本日はコスト削減と、それを加速するためのAIに焦点を当てます」と説明しました。

DX・経理・総務が本音で語るAmazonビジネスによる購買改革

続いて行われたパネルディスカッションでは、製造・食品・住宅と異なる業種から、DX推進・経理・総務それぞれの部門担当者が登壇し、Amazonビジネスの全社展開にあたって直面した課題や、導入後に得られた成果について本音で語り合いました。

1) クラフティア:ガバナンス課題を解消し、さらに年間4,650時間の効率化へ

まずは、配電・電気・空調など設備工事を手がける株式会社クラフティア(旧九電工)が取り組んだのは、購買ガバナンスの立て直しです。DX推進部の田口 武氏が、全社展開までの道のりを紹介しました。

Amazonビジネスの導入状況:

- 2023年から12支店・7支社・100か所以上の営業所にAmazonビジネスを展開

- 全従業員(約7,200名)にアカウントを付与
 

導入前の課題:

  • 間接材の調達先が分散し、購買データの管理基盤もなかった
  • 「いつ・誰が・何を買ったのか」が見えない
  • ホームセンターでの購入と立替精算などによる業務のムダ・ムラ
     

田口氏は「会計データとしては『〇〇代』という形で計上されてくるのですが、その中身、つまり何を買ったのかが見えていませんでした」と当時の課題感を率直に語ります。


導入成果:

  • Amazonビジネス上の記録で「いつ・誰が・何を」が可視化された
  • 立替精算件数:年間約22,800件 → 約17,500件(約4,650件削減)
  • 業務時間換算:試算では年間約4,650時間の削減(人工換算で約581人工、従業員7,200人の約8%相当)
  • 購買レポートを活用し、支店別の実態把握や他の購買先との価格比較、カテゴリ別のコスト最適化にまで踏み込めるようになった
     

「酷暑が続く中、熱中症関連のドリンクや空調服のバッテリーなど、現場での購買が増えています。必要なときにすぐに注文できる環境が整ったことで、現場の担当者にとっても大きなメリットになっていると感じています」と田口氏。現場の担当者が注文し、事務担当者が請求書処理を行うという自然な業務分担も生まれているといいます。
 

ポイント:

  • DX推進部が旗振り役となり、社内ポータルに特設サイトとマニュアルを整備
  • 途中から総務部を巻き込んだり、支店長会議での周知や支店ごとの説明会を実施して浸透を加速。ある現場の活用事例が口コミで広がり、多拠点へ自然に拡大

 

田口氏は「支店長会議でAmazonビジネスについてご紹介したところ、興味を持った支店長からトップダウンで情報が展開され、鹿児島、東京、関西、沖縄などで利用が大きく伸びました」と浸透の手応えを語ります。また、全社展開が比較的スムーズに進んだ背景として「Amazonは世間一般でスタンダード化しており、ITに不慣れな社員にも受け入れられやすかったことが、導入を後押ししました」とも振り返りました。

 

 

2) フジパングループ本社:立替精算を解消し年間1,000万円超削減

「年間2,000〜3,000万円にのぼる立替精算をなくしたい」——そんな切実な課題を抱えていたのが、フジパングループ本社株式会社です。経理部 課長の小林 亨氏が、導入の経緯と成果を語りました。

Amazonビジネスの導入状況:

- グループで全国に67拠点(工場・営業所等)のほか、約600店舗のベーカリー事業を運営

- 2023年からAmazonビジネスを全社展開。購買に関わる従業員が限られるため、現在のユーザー数は450名

導入前の課題:

  • 年間2,000~3,000万円のAmazon関連立替精算が経理業務を圧迫
  • 経理部門がルーティン業務から分析やシミュレーション業務へシフトするために工数圧縮が必要
     

「私は経理のことだけしか考えずにAmazonビジネスの導入を決めました。立替精算が請求書払いになるだけで、その分だけ経費処理が楽になる——それで十分だと思っていました」と小林氏は語ります。

導入成果:

  • Amazon立替精算額:ほぼゼロに
  • 3年間の立替精算コストが全体で2,000万円以上削減
  • 業務時間削減:最大約4,300時間(労務費換算で年間約1,000万円以上)
  • 請求書データを毎月抽出・銀行データと突合し、経費ガバナンスにも活用
     

「今回の登壇を機に改めて効果を試算したところ、立替精算の削減により4,300時間分の業務が圧縮され、労務費換算で年間約1,000万円超のコスト削減につながっていることが明らかになりました。数字として改めて見ると、インパクトの大きさを改めて実感しています」と小林氏は話します。

ポイント:

  • 既存の間接材サプライヤーがカバーしない商品から置き換える形で導入し、既存取引先からの反発(ハレーション)を回避
  • 各拠点の管理部門責任者にアカウント付与の権限を委譲。「大きな旗を振ったのではなく、小さな旗をみんなに配った」
     

小林氏は「空いた時間がコア業務に使えるようになったことを実感しています」と手応えを語ります。立替精算の承認といったルーティン業務から解放されたことで、経理部門が本来注力すべき分析やシミュレーション業務にリソースを振り向けられるようになったことが、導入の最大の成果だといいます。

 

 

3) アイ工務店:急成長企業ならではの課題解決にAmazonビジネスが伴走

5年間で従業員数が約3.5倍に膨らんだ株式会社アイ工務店。急成長のひずみが管理部門に集中するなか、いかにして体制を追いつかせたか——総務人事部 主任の山本 麻友氏が実情を明かしました。

Amazonビジネスの導入状況:

- 全国300拠点以上の営業所・展示場に2025年末にAmazonビジネスを展開

- 全社員(2,800名超)にアカウントを付与

- 導入から間もないため現在約100名が利用中

導入前の課題:

  • 5年間で従業員数が800名超から2,800名超へ急成長。管理体制が追いつかず、立替精算の負担が各拠点から問題として上がっていた
  • 総務人事7名では、新規ツール(Amazonビジネス)導入に割ける人員がいなかった

「総務人事は7名しかおらず、新しいツールの導入に割ける人員がいない状況でした。それでもAmazonビジネスの営業担当の方にアカウント設計から社内展開まであらゆる面でご協力いただけたことで、なんとか導入できました」と山本氏は語ります。

導入成果:

  • 年末のイベント景品購入など、丸1日かけて家電量販店に買いに行っていた業務が解消
  • 立替精算の承認業務を外注しており、件数削減がそのままコスト削減に直結する見込み

山本氏は「年末の社内イベントで景品調達を担当する事務スタッフから、『本当にありがとうございます。本当に楽になりました』と直接連絡をもらいました。それまでは各支店の担当者が丸一日かけて家電量販店を回り、大量の景品を買い付けていましたので、その時間を本来の業務に充てられるようになったのではないかと思います」といいます。

ポイント:

  • 新規ツール導入に人員を割けない課題は、Amazonビジネスの営業担当による全面的なサポートで克服。アカウント設計から社内展開まで伴走を受けた
  • 会計システムとの連動はマクロで構築済みで、請求書1枚で処理が完結する体制を実現
     

導入から間もないため約100名の利用にとどまっていますが、Amazonビジネスの利用を指示する購入品リストの整備や口コミによる全社浸透を促進中です。山本氏は「導入の翌日に支店長から利用方法の問い合わせ電話があり、『もう立替精算しなくていいって!』と後ろの部下に叫んでいる声が聞こえてきました。現場はそれだけ立替精算に苦労していたのだなと実感しました」と導入直後の反響を振り返りました。

 

 

誰にでもできる「調達×AI」で厳しさを増す調達業務に対応可能

特別講演では、未来調達研究所の坂口 孝則氏が「調達こそ、AIで覚醒せよ。明日から使える、調達現場のAI実践ガイド~」と題して講演しました。

坂口氏は冒頭、調達業務を取り巻く環境の変化を指摘しました。労務費転嫁や改正建設業法の施行によるサプライヤーからの値上げ要求、SDGs、サプライチェーンにおける人権リスクへの対応、地政学リスクといった対応が求められ、業務範囲は広がり続けています。

一方で、調達現場を支えるAIが急速に進化しています。坂口氏は「テクノロジーは民主化されました。やりたいという気持ちがあれば、ほぼ何でもできる社会になっています。AWSのBedRockのような生成ツールを使えば、誰もがアプリケーションを開発可能です」と語り、プログラミング未経験の社員が日本語の指示だけで関税シミュレーションアプリを開発した自社事例を皮切りに、実践例を次々と紹介しました。
 

紹介された主なAI活用事例:

  • 為替・商品価格の自動配信:朝6時に為替レートや金・銀価格などを自動収集し、社員にメール配信
  • 展示会出展者のAI分析:出展者名簿をAIに投入し、自社に関連するサプライヤーを事前選別
  • 図面解析による価格査定補助:図面をアップロードし、入社10年目相当の査定アイデアをAIが出力
  • 交渉会議の録音分析:文字起こしデータから優越的地位の濫用や取適法違反のリスクをAIが検出
  • 工場見学動画のAI解析:動画をAIに分析させ、改善点や注目ポイントを抽出
  • サプライチェーンマッピング:サプライヤーの住所をAIに投入し、地理的な集中度やリスクを可視化。全世界のニュースを自動取得して自然災害やストライキなどの情報を全社員に通知するシステムも構築
     

坂口氏はサプライチェーンについて「可視化なくして判断なし。まずは見るだけでもいい」と促すとともに、AIに関しては「共有こそが最強のコスト削減施策の一つ」と、得た知見を属人化させず組織全体で共有する重要性を説きました。そして60分にわたる熱弁の最後は「ビジネスには愛を、そして調達にはAIを」という力強いフレーズで締めくくりました。

 

セッションを超えた体験と交流

第1部のセッションに先立ち、ご参加の皆さまをAmazonビジネス本社のオフィスツアーにご招待しました。普段はなかなか見ることのできない舞台裏を体感いただける、特別なひとときとなりました。

また、会場内では防災およびDEI(多様性・公平性・包括性)をテーマにしたミニセッションも開催され、通常のセッションとは異なる切り口で参加者の関心を集めました。さらに相談ブースや製品サンプルの展示も設けられ、担当者と直接話せる機会も用意されました。

第1部のセッション終了後はネットワーキングパーティへと移行し、軽食を囲みながら、参加者の皆さまが自由に情報交換を楽しまれました。業種や部門を越えた対話が自然に生まれ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていました。

購買改革の実践知とAIの最前線が一堂に集まった今回のイベント。参加者それぞれが明日からの業務に持ち帰れる具体的なヒントを得られる場となりました。