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【ABX 2026】コニカミノルタ・デンソー・JX 金属が挑んだ間接材購買改革のリアル ― 調達部門の変化と成果

コニカミノルタ、デンソー、JX 金属が間接材の「聖域」に挑んだ理由とは?ABX 2026 で語られた購買改革のリアルをお届けします。

【登壇者】

コニカミノルタ株式会社

生産・調達統括部

調達センター

間接財調達部 部長

張 楠 氏

 

株式会社デンソー

資材設備調達部 部長

藤澤 晋平 氏

 

JX金属株式会社

技術本部調達部 管理担当課長

(兼)経営企画部 主席参事

関山 彩 氏

中計目標・グローバル統制・構造改革 ー 3 社が間接材に目を向けたそれぞれの理由

 

製造業の直接材調達は、これ以上削る余地がないと言われるほど、長年にわたってコスト削減の手が入れられてきた領域です。その先に残っていたのが間接材でした。品目もサプライヤーも多岐にわたり、各部門が個別に調達するため全体が見えにくい。結果として価格や契約条件がばらつき、購買プロセスも非効率になります。

 

もっとも、3社が間接材に着手した理由は分かれました。コニカミノルタは「中期経営計画目標達成への貢献」、デンソーは「効率化とガバナンス」、JX金属は「構造改革のフラッグシップとして」です。中計目標、グローバル統制、構造改革と、それぞれ異なる狙いから同じ領域にたどり着いています。

調達が外部支出の適正化を通じて会社の利益に貢献

 

コニカミノルタが購買改革に着手したのは 2019 年頃、新しい購買システムを全社導入したタイミングと重なります。着手の背景にあったのは中期経営計画です。ROE 目標の達成に向けた資本効率の向上が重要テーマに掲げられ、コスト面では直接材の最適化が全社で進んでいました。しかし、間接材は品目もサプライヤーも多岐に渡り、各部門が個別に調達することも多く、改善余地が残されていたのです。

 

そこで同社は調達の適正化とガバナンス強化を狙いに定め、まず購買データを全社で可視化し、コストの最適化を図るとともに、購買ルールの標準化によるガバナンスの強化を進めました。必要なものを、適正な条件で、適正なプロセスを通じて調達ができる仕組みを全社で実現することで、コスト最適化のみならず、経営の透明性と企業価値の向上につなげる狙いです。

 

Amazonビジネスの利用開始は 2023 年 7 月。乱立していたアカウントの一元管理、法人価格の全社適用、そして業務効率化を狙い、購買システムと連携させています。コロナ禍で在宅勤務が増え、PC 周辺機器を社員が個別に購入して立て替え精算する件数が膨らんでいた時期でもあり、導入の要望は現場と経理の双方から寄せられていたといいます。現在は約 1,700 名が利用し、発注から請求支払いまでが自動化されました。

 

もっとも、時間がかかったのはシステムの定着化です。事業部門ごとに説明会を重ね、そこで伝えたのは操作方法だけではありませんでした。

「なぜ購買改革を進めるのか、現場にどのようなメリットがあるのかを丁寧に説明することを意識しました」(張氏)

コスト削減だけでなく、全社的なコスト意識の変化も購買改革の大きな効果です。設備投資の検討段階で「これ調達に見てもらったの?」という会話が自然に交わされるようになり、調達が関与した案件は妥当性が担保されているとみなされて、承認も通りやすくなったといいます。

 

着手から 7 年、調達部門は単なる発注窓口から、コスト削減のパートナーへと社内での見られ方を変えていました。

グローバル80拠点の業務標準化で人員の10%を戦略業務へシフト

 

デンソーが取り組んでいるのは、グローバル80拠点を対象とした間接材調達の業務標準化です。日本、北米、欧州、中国、東南アジアの地域単位に分け、統一システムの導入と一体で進めてきました。背景にあったのは、調達部門に期待される役割の広がりです。自動車産業は100年に一度の変革期にあり、新興メーカーとの競争、地政学リスク、環境規制や人権への対応まで、調達が関与すべきテーマは増え続けています。

「これまで調達がやってきた課題とは一味も二味も違います。調達部門単体では解決できない、経営課題に直結する話が非常に多いのです」(藤澤氏)

限られたリソースを戦略的な業務に振り向けるには、日々の処理工数を削るしかありません。間接材の購入金額は直接材に及びませんが、取り扱う品目と処理件数は膨大です。しかも各拠点で購買フローも帳票類も異なり、どの拠点が何を誰からどれだけ買っているかという基本情報を収集するのにも時間を要する状態でした。業務のばらつきを残したままシステムだけを入れても、データは揃いません。だからこそ同社は、業務の標準化とシステム導入を切り離さなかったのです。

 

Amazonビジネスの利用開始は2024年12月で、現在は約3万名が利用しています。評価したのは品揃えの幅でした。量がまとまらない品目を都度見積もりで処理する件数を減らすことが、効率化の鍵だったからです。主要国で共通に使える点も決め手となり、いまは北米でも運用しています。

 

推進で最も力を注いだのは、海外拠点バイヤーの意識でした。「システムを入れれば楽になる」「自分たちの仕事は変わらない」と受け取るメンバーも少なくなかったといいます。同社は一斉導入を避け、地域ごとにパイロット拠点で成功事例をつくり、それを体験したメンバーが同地域の他拠点を手伝う形で広げていきました。

「業務を可視化し、DX 化できる作業を自動化・集約。人員換算で 10% の余剰を生み、より戦略的な業務にシフトしています」(藤澤氏)

現場に最も近い間接材を構造改革の入口に

 

JX金属がAmazonビジネスの利用を開始したのは2025年10月です。社内にプロジェクトチームを組成して約1年かけて準備を進め、現在はグループ会社を含む約2,000名が利用しています。着手の背景にあったのは、一昨年から進めてきた全社の構造改革でした。長期ビジョンに掲げる「技術立脚」の実現に調達部門がどう貢献できるかを議論するなかで浮かんだのが、間接材の持つ「身近さ」です。

「間接材は製造現場やユーザーと密接に関わる分野です。買い方が EC に変わることで、構造改革を身近に意識してもらえると期待しました」(関山氏)

ゴールに置いたキーワードは「調達業務のゲームチェンジャー」。同社では、調達部門にも技術の進展への貢献が強く期待されています。そこへ割く工数を確保するには、やり尽くした改善の積み上げでは届きません。そのため、従来のやり方をまるごと変えて運用を変えることによって業務を効率化し、リソースの割き方そのものを変える、ということを非常に意識していたのです。

 

Amazonビジネスに期待したのは、検索性と分析力です。商品点数が多いからこそ、工場ごとに推奨品リストを設定できることに価値があります。ただ、何を載せるべきかは自社だけでは判断しきれません。そこを埋めたのが分析支援でした。

 

「『この工場ではこれがよく買われているからこの順番で掲載してはどうか』といった提案をいただけるので、高いレベルの対応を少ない工数で実現できています」(関山氏)

現場が直接発注できるようになり、調達部門を介したやりとりが不要になったことで、発注リードタイムが劇的に改善しました。さらに遠隔地に拠点を新設した際にも、調達で困ることがなくなったといいます。このように、構造改革を身近に感じてもらうという当初の狙いは、現場の変化として形になりつつあります。

データ活用とサプライチェーンの強靭化で購買改革の次段階へ

 

今後の焦点として3社が挙げたのは、データ活用とサプライチェーンの強靭化です。コニカミノルタは、削減余地の発見や価格トレンドの把握といった、いまメンバーが時間をかけている分析に生成AIを活用したいとしています。

 

デンソーが描くのは、複数のECサイトから最安値が表示され、ボタン1つで発注手続きが終わる世界です。

 

JX金属は、供給が突然滞る事態が現実に起きていることを踏まえ、調達手段の複線化によるBCP強化を挙げました。

 

間接材から始まった3社の改革は、買い方の効率化を通り抜けて、調達部門に期待される役割の広がりを指し示しています。

本資料に記載の内容は 2026 年 9 月現在のものであり、弊社において、これを予告なく変更等する場合があることを、あらかじめご了承ください。本資料に関連するサース内容、およびインターネットサイト上の表示等は変更となることがありますのでご了承ください。弊社は、本資料の記載内容につき細心の注意を払っておりますが、記載された情報の誤り等に関し、一切責任を負うものではありません。