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レポート
高等教育

【JAB-DAIレポート】初の地方開催!名城大学と名古屋工業大学の購買改革、AWS による生成 AI 活用

Amazonビジネス JAB-DAI 第 6 回(2026 年 6 月 12 日・名古屋工業大学開催)

Amazon ビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」(第6回目)が、2026 年 6 月 12 日(金)に名古屋工業大学にて開催されました。本稿では、名城大学・名古屋工業大学の導入事例と、AWS による大学での生成 AI 活用についてレポートします。JAB-DAI は今後も定期的に開催を予定しております。大学・学校法人での業務効率化にご関心をお持ちの皆様は、ぜひ本事例を参考に、次回の共有会へのご参加をご検討ください。

初の地方開催。会場は名古屋工業大学。

2026 年 6 月 12 日、名古屋工業大学4号館ホールにて、Amazon ビジネスをご利用いただいている大学・学校法人の皆様を対象にした情報交換イベント「JAB-DAI」を開催しました。6回目となる今回は、初の地方開催です。これまで東京で開催してきた中で「なかなか東京まで行けない」という声が多く寄せられていたことを受け、中部エリアの大学の皆様により参加しやすい環境を整えました。当日は25 大学から 53 名の調達・購買業務担当者様にお越しいただき、想定を大きく超える来場者数となりました。

 

愛知県内の大学を中心に、信州大学、三重大学、和歌山大学、芝浦工業大学などの県外からも業務改革への意識が高い大学が参加。講演会の時点から大学様同士で名刺交換をし合うなど和気藹々とした雰囲気があり、地域の大学間交流の場としても有意義な集まりとなりました。

 

本稿では、名城大学の Amazon ビジネス導入3年間の成果と課題、名古屋工業大学の SSO 連携による全学展開と検収業務改善の取り組み、そして AWS による大学での生成 AI 活用についてレポートします。



JAB-DAI とは

「Japan Amazon Business ─ Daigaku」の略で、Amazon ビジネスをご利用いただいている大学・学校法人を対象にした情報交換イベントです。Amazon ビジネス導入による、学内の業務改善やコストダウンの事例共有、運用の悩みなど、参加者がリアルに直面する日々の課題について質問をしたり、知見を共有しあう交流の場として生まれました。

学校法人名城大学:Amazon ビジネス導入から3年、スタンドアローン運用で実現した大幅な業務改善

最初に発表されたのは名城大学です。同校は、名古屋市を中心に 5 キャンパスを展開し、10 学部に約 15,000 名の学生が学ぶ中部圏最大級の総合大学です。ノーベル賞受賞者を 3 名輩出するなど、研究面でも高い実績を誇ります。

 

今回は、2023 年からの全学的な Amazon ビジネス導入 3 年間の成果と、システム連携なしの「スタンドアローン運用」で実現した業務改善について発表されました。

導入前の課題:教員も事務方も疲弊する購買業務

導入前の同校では、教員が1件の物品を購入するのに約 45 分を要していました。見積依頼、相見積もり、紙の購入依頼書作成、押印回覧、発注待ち、検収、証憑提出──これらの工程を経る必要があったためです。年間推定 8,800 件の購買に対し、教員が費やしていた時間は年間約 6,600 時間にのぼります。

 

事務職員側も、月間 730 件の伝票処理に1件あたり約 20 分を要し、200 社以上への個別振込処理や取引先マスタ 1,000 社以上の管理に追われていました。振込手数料だけで年間約 230 万円が発生し、紙書類はキャビネット 10 台以上を占有する状況でした。さらに、個人の Amazon アカウントによる立替購入が散見されるなど、ガバナンス面での課題も顕在化していました。

 

 

スタンドアローン運用という選択

名城大学が選んだのは、財務会計システムとの連携を行わない「スタンドアローン運用」です。導入コストをほぼゼロに抑え、検討開始から全学展開まで約1年というスピードを実現しました。会計システムのバージョンアップに影響されず、承認フローの変更にも即時対応できる柔軟性がこの方式の強みです。

 

導入は段階的に進められました。2022 年 5 月に職員用アカウントでトライアルを開始し、事務部門での運用を通じて手続き簡素化の効果を実感。その後 2023 年 8 月に教員用アカウントを導入し、2024 年 4 月にアカウントを統合。2025 年 4 月には安定運用フェーズに入っています。

 

3 年間の成果:利用額は 4 倍以上に成長

導入3年間で、年間発注金額は 2,900 万円から 1 億 2,000 万円へと約 4 倍以上に成長しました。教員 1 件 あたりの作業時間は 45 分から 8 分へと 82 %削減され、年間 5,427 時間の研究時間が創出されています。

 

事務側でも、振込手数料は年間約 230 万円から約 2 万円へと 99 %削減。立替精算件数は年間 800 件から 50 件へと 94 %減少しました。事務処理時間も 1 件あたり 20 分から 12 分へと短縮されています。

 

一方で、財務会計システムへの二重入力が残存していることや、予算残高のリアルタイム確認ができないといった課題も見えてきたそうです。現在は注文レポート CSV を Excel マクロで変換し、財務会計システムへの入力用データを自動生成する工夫で対応しています。

 

今後の展望

短期的には利用率 70 %の達成と RPA 化の検討、中期的には次期システム更新時の財務会計システム連携、長期的には購買データの全学可視化と予算策定への活用を目指しています。「教員が研究に集中できる環境」の実現に向けて、同校の取り組みは続きます。

国立大学法人名古屋工業大学: 4 か月で全学展開、SSO 連携と検収業務改善の取り組み

続いて発表されたのは、今回の会場校でもある名古屋工業大学です。同校は名古屋市昭和区に位置する国立大学法人で、工学系の教育・研究に特化した大学です。

今回は、業務変革推進室の服部実室長より、SSO 連携による Amazon ビジネスの全学導入と、検収業務改善を含む購買プロセスの効率化について発表されました。

導入前の課題:管理されていない購買が生む構造的リスク

導入前の同校では、教員が個人アカウントで Amazon を利用し、立替払いが常態化していました。支払口座は 200 件に分散し、経理部門の負担は増大する一方でした。最も深刻だったのは、購買データが一元管理されておらず、「誰が、何を、いくらで買ったか」を組織として把握できない状態にあったことです。

 

服部室長は資料の中で、「管理されていない購買は、コストとデータの両方を同時に失う構造的リスクです」と指摘しています。

 

わずか 4 か月での全学展開

名古屋工業大学では、2024 年 9 月から 2025 年 1 月のわずか 4 か月間で全学展開を完了しました。主な取り組みは 3 つです。

 

第一に、SSO(シングルサインオン)統合による全学アカウントの統一です。個人アカウントを廃止し、大学が管理する単一の認証基盤に移行しました。第二に、請求書払いへの一本化です。立替精算を原則廃止し、大学として一括で請求・支払いを行う体制を構築しました。第三に、支払口座の集約です。200 口座から1口座への統合により、経理業務を大幅に簡素化しました。

 

導入効果:年間 2,000 件の立替精算を削減

導入後の効果は明確な数値として表れています。立替精算業務は年間約 2,000 件削減され、支払口座は 200 件から 1 件に統合。振込手数料は約 40 万円の削減となりました。業務処理時間は約 160 時間短縮され、申請業務も 1 件あたり20 分以上の短縮を実現しています。

 

現場からも好意的な声が上がっています。立替払いに伴うクレジットカード明細のダウンロードや墨塗り作業が不要になったこと、物品受け取り後すぐに申請が可能になり申請漏れがゼロになったこと、配送伝票の提出が不要になり完全ペーパーレス化が実現したことなど、日常業務の負担が大きく軽減されました。

 

検収の最適化:参加者の関心が最も高かったテーマ

名古屋工業大学の発表で参加者の関心が最も高かったのが、検収業務の最適化に関する取り組みです。EC サイトを利用した購買における検収の省略や、ワークフローを活用した検収の仕組みについて、具体的な運用方法が共有されました。

 

アンケートでも「検収の最適化の考え方が非常に参考になった」「EC サイト利用時の検収省略について実例を聞けたことが一番の学びだった」といった声が多数寄せられており、同じ地域の国立大学による生の事例が、参加者の意識変容につながったことがうかがえます。

 

今後の展望:購買データを組織の資産に

服部室長は、「本当のゴールは、購買データの一元管理による新たな価値の創造。ガバナンスの確立は、そのための第一歩」と語っています。今後はフェーズ 2 として A-SOM 導入による購買チャネルの統合、フェーズ 3 では ChatGPT を活用した購買データ分析や、科研費使用制限品目の自動フラグ化、部署をまたいだ重複調達の可視化と共同調達の実現を目指しています。

 

コスト削減はあくまで「副産物」であり、購買データを組織の資産に変えることこそが本質的な目的──その明確なビジョンが、参加者に強い印象を残しました。

AWS で実現する大学での生成 AI 活用 ~業務効率化への活用と導入事例~

第一部の後半では、アマゾン・ウェブサービスジャパンの土井辰也氏より、大学業務における生成 AI 活用の最前線が紹介されました。

すぐ使える生成 AI ツール

AWS では、大学がすぐに活用できる生成 AI ツールを複数提供しています。「Amazon Bedrock」は 17 社約 100 の AI モデルから用途に応じて選択でき、プレイグラウンドで即座に試用が可能です。「GenU(Generative AI Use Cases JP)」は、チャット・文書作成・要約・翻訳・RAG(文書検索)などの機能を備え、GitHubで無料公開されています。

 

セキュリティ面では、入力データが AI の学習に使用されないこと、東京・大阪リージョンを選べばデータが日本国内で処理されること、SINET からの閉域接続が可能であることなど、大学が安心して利用できる環境が整備されています。

 

デモで見せた業務効率化の可能性

当日は 3 つのデモが実施されました。1 つ目は「GenU」による会議議事録の自動生成と、学内規程への質問応答(RAG)です。2 つ目は「RAPID」による請求書の AI 審査で、PDF をアップロードすると AI が根拠付きで判定結果を表示し、インボイス登録番号の照会・実在確認も自動化されます。3 つ目は「Amazon Quick」による購買業務の自動化で、購入相談の入力から調達方式の判定、過去実績・ベンダー確認、随意契約理由書・稟議書の自動生成までを一気通貫で行うデモが披露されました。

 

東北大学の導入事例:検討から 1 か月でサービス開始

具体的な導入事例として、東北大学の取り組みが紹介されました。同大学では、AWS のオープンソース「GenU」をカスタマイズし、検討からわずか 1 か月で内製構築・サービス開始を実現。会議議事録の作成時間が 4 分の 1 に短縮され、ランニングコストも従来の 3 分の 1 に削減されています。論文執筆補助など研究支援にも活用が広がっているとのことです。

参加者からは「AI による事務負担軽減の可能性を感じた」「生成 AI ツールのデモを実際に見せていただき理解が深まった」「購入伺いなどの学内申請をどのように AI 活用により改善できるのかという点で参考になった」といった声が寄せられました。

参加者アンケート:満足度 100 %、地方開催ならではの交流が好評

イベント後のアンケートでは、回答者 33 名全員が「非常に満足」または「満足」と回答し、満足度 100 %を達成しました。

 

良かった・学びになったコンテンツとしては、名城大学・名古屋工業大学の導入事例がともに高い評価を得たほか、AWS による生成 AI 活用や Amazon ビジネス最新機能の紹介も好評でした。規模や設置形態の異なる2大学の事例が並んだことで、「自学に近い事例から具体的なヒントを得られた」という声が多く寄せられています。

参加者からのコメント(抜粋)

「名城大学様の現状を丁寧に把握した上で、スモールスタートで取り組みを開始し、改善につなげていかれた点が大変参考になりました」

 

「Amazon ビジネスを利用した場合における「検収の最適化」の考え方が非常に参考になりました」

 

「導入までの道筋や導入後の使い道など多く学ぶことができた」

 

「大学の規模感としては異なるものの、実例を通じて、大学における業務効率化や課題について共感するところがとても大きかった」

 

「本学では会計データとしては蓄積されているものの、購買行動の分析や業務改善に活かすためのデータとして購買データの蓄積、整理・活用も今後重要性が増してくるのではと感じた」

第二部 ネットワーキングパーティ

第二部では、2号館ラウンジに場所を移し、軽食とドリンクを囲みながらのネットワーキングパーティが開催されました。参加者からは以下のような感想が寄せられています。

「購買部署では他大学との交流の場が少ないため、貴重な場を提供いただきありがとうございます。

特に大学毎によって購買ルールが異なるので、他大学の運用やルールを伺えたことは大変参考となりました」

 

「他大学の事務職員の方とフランクに話をする機会がないので、有意義な時間であった。

互いに協力し合って、より良い高等教育を提供できればと思います」

 

「発表では曖昧だったところを深く伺うことができた。

また同規模で普段交流のない私学の方と情報交換ができて大変勉強になりました」

 

「近隣の他大学と情報交換することができて大変参考になりました」

 

「立替精算の横行と振込先口座の数が多くなる問題点が、身近な大学でも同様に起きていることがよくわかった。

Amazon ビジネスの件のみならず、それ以外の取り組みについても情報交換できて、有意義な時間となりました」

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Amazon ビジネスに関するお問い合わせ

Amazon ビジネスでは、今後も継続して、大学・教育機関の業務効率化に向けて、機能・サービス改善をしていくとともに、皆さまが情報交換をいただける機会を開催予定です。今回のイベントや取り組みにご興味があるかたがいらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせください。