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ヘルスケア

神奈川県内 公立病院

FAX 発注から脱却し、日用品の発注業務を 3 割以上短縮。公立病院が「現場を変えずに」進めた購買改革

Amazon ビジネス導入理由と成果

  • 市内業者への FAX 発注が 9 割以上を占め、依頼内容の確認を含む発注業務に半日を費やすこともあった
  • 見積書・納品書・請求書をそろえる独自の経理ルールに、請求書を柔軟に発行できる Amazon ビジネスが適合
  • 現場の運用を変えずに購買先を切り替え、発注業務にかかる時間を3割以上短縮。消耗品全体で年間数百万円規模のコスト削減も見込む

約 400 床を備える地域医療の中核病院

FAX 中心の購買体制が課題に

 

本稿で紹介するのは、神奈川県内の公立病院です。約 400 床を有する総合病院で、災害拠点病院にも指定されており、比較的規模の大きな医療機関として地域医療の一翼を担ってきました。

 

同院は 2023 年、地方公営企業法の「全部適用」に移行しました。これは、病院の会計や予算執行を市役所から切り離し、多くの意思決定を院内の決裁のみで進められるようにする制度です。これにより、運営の裁量が大きく広がりました。

 

この変化は、購買にも関わるものでした。以前は購買先を市が決めており、市内業者を優先する慣習が根強く残っていたため、病院が法人向け EC サービスから物品を購入するのはハードルが高かったといいます。

 

ただし、体制が変わっても、購買のやり方がすぐに変わったわけではありません。2025 年度に日用品の購買業務を引き継いだ担当者は、「市内業者に FAX で発注している状況に、カルチャーショックを受けました」と振り返ります。

 

購買対象は、用紙やゴミ袋、トイレットペーパーといった一般消耗品から、事務用品やテプラのテープ、書籍、さらには毎シーズン買い替えが発生する冷蔵庫や扇風機などの家電製品まで多岐にわたります。その 9 割以上が、市内業者への FAX 発注でした。価格も割高で、「発注しても1週間ほど待たされることがありました」と担当者は明かします。

 

購買のワークフローは、各部署が 3 枚つづりの複写式伝票に必要な物品を記入し、上長の押印を経て担当者へ提出するというものです。伝票は各部署から随時届き、担当者は前日分を翌朝にまとめて処理していました。発注先の振り分けや FAX の段取りを含め、この作業には毎日 3 時間ほどかかり、多いときには半日がつぶれることもありました。なかでも負担が大きかったのが、依頼内容の確認です。

 

「『手帳を買ってほしい』『カレンダーがほしい』といった、ふわっとした依頼が多かったです。カレンダー 1 つとっても、種類はさまざまなので、本当に必要なものをヒアリングしてから発注する必要がありました」(担当者)

 

施設管理部門からは設備メーカーの部材を型番指定で依頼されることもあり、確認はさらに複雑で難しくなります。加えて、毎日さまざまな業者へ大量の FAX を送るため、送り先を取り違えたり、送ったつもりが届いていなかったりといったミスも時折発生していました。

 

歴代の担当者も FAX をこまめに送るなどの工夫を重ねてきましたが、数年ごとに担当が替わることもあり、発注方法そのものを見直すまでには至っていませんでした。

転機は 1 枚のはがき

経理ルールの壁を越えた請求書機能

 

転機が訪れたのは、日用品の購買を担当して 2〜3 カ月が経った頃でした。もともとプライベートで Amazon よく利用しており、仕事でも使えないかと考えていた担当者のもとに、Amazon ビジネスの案内はがきが届いたのです。担当者はすぐに電話で問い合わせ、関係各所と調整したうえで、まずは少額の購入から試してみることにしました。

 

導入検討にあたっては、他の法人向け EC サービスも比較したといいます。しかし、見積書や納品書、請求書をそろえて支払いを行う院内のルールがあり、検討した他の EC サービスでは、この運用がうまくかみ合いませんでした。その点、Amazon ビジネスであれば従来の運用にも適合していました。

 

「Amazon ビジネスなら、購入した分の請求書をその都度発行できるので、請求書の単位に合わせて買い方を調整できます。これが非常に助かりました」(担当者)

 

また、同院では 10 万円を超える購入には 2 社以上の相見積もり、50 万円を超える場合は入札が必要というルールが定められています。消耗品は単品で 10 万円を超えることがほとんどないため、見積もりを取らずに Amazon ビジネスで購入できる点も、日々の購買との相性の良さにつながりました。

 

上長への説明もスムーズに進み、反対の声はありませんでした。2025 年 7 月頃に検討を始め、10 月には最初の購入を実施。まずは少額の購入を重ねながら経理処理にエラーが出ないかを確認し、2026 年 1 月から本格運用に移行しました。

 

「実際に運用を開始するにあたっては他部署からも理解がありました。経理処理に関しても見積書や納品書、請求書を思ったとおりに発行できるため、想定していたほど苦労はしませんでした」(担当者)

現場の運用は変えず

購買先の切り替えで負担を軽減

 

導入後は、それまで市内業者に発注していた物品の大半を Amazon ビジネスで購入するようになりました。ただし、現場の運用はほとんど変えていません。各部署は従来どおり紙の伝票で購入を依頼し、変わったのは、購入したい商品の Amazon ビジネスのページを印刷して添えるようになったことだけです。

 

「購買先を私のほうで Amazon ビジネスに変えて、現場には『ほしい商品のページを印刷して持ってきてもらえれば、すぐに届きます』と伝えただけです。それでも、購入したい品物が明確になり、在庫の有無も現場で確認してもらえるようになったので、ヒアリングの手間は大幅に減りました」(担当者)

 

その結果、発注業務にかかる時間は、従来から 3 割以上短縮されました。現場にとってもサイト上で商品説明を見比べながら選べるようになったことで、漠然とした依頼ではなく、本当に必要で使い勝手のよいものを選べるようになりました。普段から個人で Amazon を使い慣れている職員が多いこともあり、この運用は狙いどおり定着していったといいます。

 

配送のスピードも変わりました。FAX で発注していた頃は早くても 3 日ほどかかっていましたが、今は午前中に注文すれば当日か翌日の午後には届き、現場からも驚かれているそうです。

 

価格面でも、想定以上の効果が出ています。象徴的なのが、院内で多数使用する丸椅子です。これまでは医療系メーカーの製品を 1 脚 10 万円ほどで購入していましたが、Amazon ビジネスでは 1 万円以下で手に入ることがわかりました。

 

「試しに 1 脚購入して現場で使ってもらったところ、十分だという評価でした。金額のインパクトは、思っていた以上に大きいと感じています」(担当者)

 

そのほかノートパソコンなども Amazon ビジネスで整備済み品を選ぶことで、従来の 5 分の 1 ほどの価格で購入できるようになりました。こうした積み重ねにより、消耗品全体で年間数百万円規模のコスト削減につながる見込みです。

 

蓄積したデータを生かし

購買改革をさらに一歩先へ

 

Amazon ビジネスの導入から 1 年足らずで成果が見えてきたことで、将来的な活用の発展も視野に入ってきています。その 1 つが購入リストの整備です。現在、各部署からの依頼は引き続き紙の伝票で受け付けており、Amazon ビジネスのアカウントを直接付与しているのは施設管理部門のみです。現場が自分で発注申請できるようになれば、伝票のやり取りはさらに減らせます。一方で、何を買ってよいかの基準がないまま発注の権限を広げると、本当に必要なものかを判断する手間が、かえって増えてしまうおそれもあります。

 

そこで鍵になるのが、Amazon ビジネスに蓄積されていく購買データです。数年分の履歴がそろえば、それをもとに院内で標準的に使う物品を絞り込み、購入リストとしてまとめることができます。

 

「Amazon ビジネスでの購買データが 2〜3 年分たまれば、購入リストをつくれると思います。リストがあれば、看護師や医師がスマートフォンからリストの範囲内で自由に購入申請できる運用も考えられます」(担当者)

 

リストの範囲内であれば、購買担当者が 1 件ずつ中身を確かめる必要はなくなり、現場は必要なものを思い立ったときに手配できます。現場の運用を大きく変えずに始めた購買改革は、データの蓄積とともに、現場が直接購入できる仕組みへと段階的に広がろうとしています。

 

病院の会計が市役所から切り離され、院内で判断できる範囲が広がったあとも、長く続いてきた FAX での発注。担当者が変えたのは、購買先として利用するサービスだけでした。それでも、発注業務にかかる時間は 3 割以上短縮され、物品によっては価格を大幅に抑えられるようになりました。最後に、同じ公立病院で購買に携わる方々へのメッセージを伺いました。

 

「経理上のハードルは、意外と簡単に突破できます。そして、安くて早くて、現場の求めるものが間違いなく届く。そこが一番のメリットだと思います」(担当者)

 

現場を変えずに、購買の「当たり前」を変える。同院の取り組みは、同じ課題を抱える病院にとっても購買改革の一歩を踏み出すヒントになるはずです。

<会社情報>

法人名:非公開(神奈川県内の公立病院)

業種:医療

 

 

※ 取材時期 2026 年 9 月

※ 記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。