2007年創立の檸檬会は、待機児童問題を背景に、業界に先駆けて保育園の複数展開を進めた社会福祉法人です。探究的な保育を掲げ、全国に拠点を広げてきました。
近年は保育事業に加え、障がい福祉事業にも進出。さらに福祉施設や日本語学校、おもちゃ美術館などを集約した「ソーシャルインクルージョンヴィレッジ」を展開し、年齢や国籍、障がいの有無を問わず、多様な人々が地域の中で自然に交流できる場づくりを進めています。
こうして事業の多角化を進める一方で、祖業である保育事業は引き続き法人の中核に位置付け、保育の質向上に注力してきました。少子化や保育士不足といった環境変化を受け、近年は特に保育士の業務負担軽減による保育の質向上を重視。清掃や洗濯のアウトソーシング、連絡帳や指導計画、健康管理のデジタル化などを進め、保育士がこどもに向き合う時間を確保するようにしています。
保育士が保育に集中できる環境づくりのためにさまざまな業務のICT化を推進していましたが、中でも課題解決に苦労していたのが「購買業務に時間がかかること」でした。
保育園では、ハンドタオルやトイレットペーパーといった生活用品だけでなく、おもちゃや画材、工作材料、植物や動物を育てるためのグッズまで、多種多様な保育用品を購入する必要があります。当時は、必要なものが発生するたび、できるだけ安いものを探すため、分厚い紙カタログを複数見比べてFAXで注文するか、ホームセンターや100円ショップなどに足を運んで購入するのが一般的でした。品物の種類や在庫状況によっては、車で店舗まで買いに行かなければならないこともありました。
さらに購入後も、領収書の送付や会計ソフト入力、小口現金の残高管理、金種票作成など、多くの事務作業が発生していました。レイモンド戸ヶ崎保育園の施設長である佐伯朋美氏は、「購買にさまざまな作業や手続きが付随するので、とにかく煩雑でした」と振り返ります。
そこで注目したのがAmazonビジネスです。副理事長の青木一永氏は、個人利用で慣れ親しんでいたAmazonに法人向けサービスがあると知り、2020年5月に財務メンバーとともにサービス説明を聞くことにしました。
「Amazonビジネスは、おもちゃなど、通常のオンライン購買サービスでは扱っていない保育用品までカバーしています。しかも、カタログ注文や買い出し、領収書送付、会計ソフトの入力などの手間も減らせる。『メリットしかない』と感じましたね」(青木氏)
Amazonビジネスの導入は、財務メンバーを中心に進められました。経営陣に対して導入メリットを説明したところ、見込まれる効果が明確だったこともあり、大きな反対意見もなく採用が決定。各施設長向けに利用フローの説明会を実施し、サービス説明からわずか3カ月で運用開始に至りました。
導入に際しては、各施設にアカウントを付与したものの、Amazonビジネスに購買を集約するか、既存サービスと併用するかは現場判断に委ねたこともあり、大きな抵抗感なく受け入れられました。
使い慣れたAmazonのサービスで、操作方法や利用画面にも親しみがあったこともあり、結果として導入後わずか半月で約3分の1の施設が利用を開始しました。青木氏はスムーズな立ち上がりの要因を「日頃からAmazonを利用している施設長や職員が多かったので、自然に活用が広がっていったのでは」と推測します。佐伯氏も積極的に活用している1人で、「今では保育用品の6~7割をAmazonビジネスで購入するようになっています」と語ります。
Amazonビジネス導入後、現場から特に多く聞かれたのが、豊富な品揃えに対する評価でした。佐伯氏も「こどもが捕まえたカナヘビ用の生き餌を探していたとき、Amazonビジネスでも取り扱っていることがわかって驚きました」と振り返ります。
購買にかかる時間も大幅に削減されました。従来は紙カタログを見比べたり、店舗を回ったりしながら商品を選定していましたが、Amazonビジネスでは検索機能や詳細な商品説明、口コミを参考にしながらの比較・選定が可能になりました。他にも、シェア機能を使って商品ページを職員間チャットで共有しながら検討できるため、購入判断もしやすくなりました。
さらに、時間や場所を問わず注文できるので、「あとで対応しよう」と業務を持ち越すことも少なくなりました。「商品探しから購入まで、1回あたり数十分かかっていた作業がほとんど負担にならなくなりました」と佐伯氏は語ります。
同時に、Amazonビジネスの導入は、小口現金制度の廃止と施設全体のキャッシュレス化という法人目標の早期実現につながりました。付随する間接業務の負担が減ったことで、保育士がこどもと向き合う時間的・心理的余裕が今では生まれました。
そして、佐伯氏が「最も大きな変化」と語るのが、こどもの「やりたい」にすぐ応えられるようになったことです。
「以前は、購入を検討してから手に入れるまでに時間がかかり、その間にこどもの興味が薄れてしまうこともありました。今は『これがあったらもっと盛り上がる』と思ったときにすぐ注文でき、翌日に届くこともあります。こどもの好奇心に、すぐに応えられるようになりました」(佐伯氏)
一方、法人本部でも導入による変化を感じています。以前は、多拠点で事業を展開しているにもかかわらず、施設ごとに必要なものや購入タイミングが異なるため、スケールメリットを十分に活かせていない状況が続いていました。Amazonビジネスの導入後は、法人価格を含め、相場より安価な商品も多いので、約90拠点全体で見るとまとまったコスト削減につながり、配送料だけでも数百万円のコスト削減効果がありました。さらに小口現金制度からクレジットカード支払への切り替えにより、会計処理を手入力からシステマチックに行えるようになったことで財務部の業務DX化も促進されました。
さらに青木氏が強調するのは、「購買の見える化」による効果です。決済用クレジットカードを本部が管理し、配送先も各施設に限定。履歴を追跡できる体制を整えたことで、「不正支出の防止にもつながっています」と青木氏は手応えを示します。
利用を強制することなく、Amazonビジネスの導入を進めてきた檸檬会。今後も各施設の自主性を尊重しながら、活用事例の共有を通じて利用拡大につなげていきたい考えです。
「『この商品はここで買う』という運用は、一度定着すると見直しづらい面があります。だからこそ、互いの施設の事例を共有しながら、『こんなものも買える』『こんなに業務が楽になった』というイメージを持ってもらうことが重要だと思います」(佐伯氏)
その先で常に目指しているのは、保育の質向上です。
「現場には、『やってみたい』というこどもの興味だけでなく、『こんな環境を用意したい』という保育者の熱もあります。必要なものがすぐ手に入るということは、その両方を支えられるということ。これからも、保育士がこどもとしっかり向き合える環境をつくるために、Amazonビジネスを活用していきたいです」(青木氏)
取材時期 2026年5月
記載内容(役職、数値、固有名詞等)はすべて取材時の情報です。
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