日本CFO協会(CFOの機能強化に取り組む一般社団法人)が発行するレポートによると、調査対象企業の6割が間接材管理への課題を自覚しながらも、解決に至っていません。
間接材のコスト削減余地は高いものの、調達業務の可視化などに課題を抱えている実態がうかがえます。
この記事では、間接材の管理において企業が抱える課題・その要因と、コストダウンに向けた手法について解説します。
間接材の種類
「間接材」という言葉は、所属する企業によって様々なとらえ方があるのではないでしょうか。主なとらえ方は大きく二つあります。もともとは製造業の工場で使用されていた用語であるため、「間接材料」という意味合いの「狭義の間接材」、そして売上に直接関連しないすべての外部調達品を指す「広義の間接材」です。
本記事では以下の広義の間接材について、また、購買する際の課題に触れていきます。
間接材の例:
・事務用品関連 文具、筆記用具、印紙類など
・IT関連 PC類、ソフトウェア、ライセンス、通信関連
これらの間接材の購買について課題を抱えている企業は多いと言われています。
実施にどのような課題を持っているのか、見ていきましょう。
間接材は管理水準が低い
間接材のうちインフラ関連など専門性を必要とするものについては、購買部門を設置するなど一定の管理水準を求める企業が多くなっています。
しかし、事務用品関連やIT関連については、社員や部門任せになり、管理水準の低さに課題を抱える企業が多く見受けられます。
管理水準が低いことは次のような問題につながる可能性があります。
① 調達コストや業務コストが高くなる
社員や部門ごとに調達すると、ボリュームディスカウントなどの交渉が難しくなり調達コストを抑えにくくなります。
また、社員や部門ごとに調達する仕組みだと、見積、納品、検収、支払い(依頼)、精算の一連の手続きをそれぞれが独自に行うことになるため、業務コストが高くなってしまいます。
② コンプライアンスの問題が生じる
もともと調達業務は取引先との癒着などリスクの高い業務です。社員や部門任せにすると、コンプライアンスの問題が生じる可能性があります。
また、違法ソフトの購入やライセンスのただ乗りなど、IT関連のコンプライアンス問題もよく見聞きする話です。
③ ガバナンスの低下を招く
部門単位でパソコンやソフトウェアなどのIT製品を調達すると、コミュニケーションツールやセキュリティツールが部門ごとにバラバラになってしまう可能性があります。
これが部門間の壁を作ることになり、経営の立場から各部門の状況が見えづらくなります。
部門ごとに異なる?間接材の購買管理
電機メーカーなどでは、グループベースで間接材購買のSSC(シェアードサービスセンター)を置いて、コストダウンや管理水準の高度化に取り組んでいます。しかし業種や企業規模の違いにより、多くの企業では社員や部門ごとの間接材の購買管理を行っているのが実情です。
このように、部門ごとに異なる購買管理がなされていることも、間接購買における課題の1つです。
部門ごとに購買管理することになっている原因として次のようなものがあります。
多様な調達品目で構成されている
先述のとおり間接材の特徴として、種類や用途が多岐に渡るという点があります。製造、営業、管理部門など部門によっても間接材のニーズが異なります。
また調達する場合も、計画的に調達する直接材と異なり、必要になった時にその都度発注をかけることが多いことも特徴です。そのため調達回数が多く、1回ごとの調達金額も小さくなる傾向が見られます。
このような特徴から、間接材は会社全体での調達コストや重要性が認識されづらくなります。
調達実態の可視化が難しい
間接材の管理水準を向上させるためには、現状の調達実態の可視化が欠かせません。しかし社内に間接材のデータベースが充分に揃っていない企業も少なくありません。
原因としては、ルールに基づくシステム化の遅れです。購買業務は外部への支出を伴うため、上司や統制部門の承認が必要となりますが、紙文化やハンコ文化が残る企業ではシステム化が遅れています。
調達コスト管理を行うためには、見積もり段階から支払い段階まで、詳細データ(日付、取引先、品目、数量、単価など)の詳細を把握する仕組みが求められます。
適切な間接材の購入ができる人材がいない
間接材の調達コストを適正化したいと思っても、社内に適切に購入することができる人材がいないというのも大きな課題です。「間接財購買部門を立ち上げたいが、どこから手をつけたらいいのかわからない」という悩みを抱えている企業も少なくありません。
間接材の管理水準を向上させるためには、適切な購買の標準化や、適切な購買ができる人材の育成が必要となります。
購買課題の中でまず着手すべきは「コストの適正化」
ここまででお伝えしたように間接材の購買にはさまざまな課題がありますが、まず最初に着手したいのが調達コストや業務コストなどの適正化です。
ここからはコスト適正化のために実施したい3つの方法をお伝えします。
① 購買部門や購入先(サプライヤー)を集約させる
調達量や金額の多い品目は、集約することでコスト削減が実現できます。また、購買部門を専門的な組織に集約することで取引先も集約することができるようになります。
取引先の集約を進めると個々の取り引き量が増え、スケールメリットを生かした交渉ができるようになります。また、品目や数量によっては、合見積もりを進めることでさらにコストダウンが期待できます。
➁ 外部サービスを利用する(マーケットプレイスなど)
間接購買では、数量や金額が少ない品目も少なくありません。また、突発的に調達が必要となる品目もあります。こうした品目はロングテール(長いしっぽ)品目と呼ばれています。
ロングテール品目を購買組織で管理することは、業務コストがかさみ得策ではありません。
ロングテール品目は、外部サービス(マーケットプレイスなど)を利用した調達が効率的です。EC取引の拡大に伴い、年に数点しか売れないような商品も取りそろえるなど圧倒的な数の商品を用意するマーケットプレイスも出現しています。
商品数の豊富さだけでなく、承認ルールの設定ができたり、購買内容を可視化することができるなど各種サービスも充実していますので、マーケットプレイスを利用した間接材の調達は、現在では有効な購買施策の1つになっています。
③ 調達者の育成、リーダーシップの確立
人材育成により、間接財調達の管理水準の向上を目指すことは、内部資源が充実し、継続的に管理水準の向上を図れることから有力な施策となります。
社内にスキルのある人材がいない場合や他社のリファレンスモデルを参考としたい場合などは、専門的なコンサルタントを活用して組織や業務モデル設計、調達パーソンの育成などに取り組む必要があります。
特に、購買部門は調達コストの削減だけではなく、現場統制やコンプライアンス順守などが求められる組織です。そのため、購買の担当者は購買業務の処理能力だけでなく、購買戦略の立案・実行や各部門との社内調整、信頼関係づくりが求められます。長期的計画的な人材育成が必要になります。
Amazonビジネスなら、購買課題を早期に解決
Amazonビジネスのマーケットプレイスは、購入先(サプライヤー)を比較をしなくとも、価格や納期などの観点から常に最良の出品者から購入しやすい仕組みとなっています。さらに、法人価格・数量割引の他、オンライン入札機能によるコストダウンが期待できます。
また、注文履歴や請求データを閲覧することができるので、購買の可視化を簡単に実現。加えて各ユーザー・グループ(各拠点、部署、店舗等)の購買実績をCSVでダウンロードし、把握することができます。
併せて、Amazonビジネスにはオプションで「購買コントロール機能」を搭載することができます。カテゴリー単位での購買制限や推奨商品などを設定する事ができるので、購買活動の統制が可能になります。これによって、調達コストの標準化や業務コストの効率化が図れます。調達者の育成には時間がかかりますが、Amazonビジネスには無料で登録することができるので、購買課題の早期解決に繋がります。早期に管理水準の向上を目指せる解決策の1つと言えるでしょう。
日本CFO協会による調査レポート
「間接材コストのマネジメントに関する実態調査とロングテールスペンド管理への示唆」
日本CFO協会にて財務幹部300人を調査したレポート のpdf版がご覧いただけます。
「日本企業が抱える間接材コストにおける課題とは?」
「間接材コスト適正化のための要素とは?」
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