利便性確保と業務効率化。教職員、経理部門の双方にメリット
神戸市内に2つキャンパスを持ち、10学部8研究科を展開する神戸学院大学は、学生数1万1,000人余りを擁する市内最大の文理融合型私立総合大学です。「学生が自らの成長を実感できる大学」を追求しつつ、「社会から必要とされる存在価値の高い大学」を目指しており、近年も新たな学部や学科を開設しています。
大学が着実に成長する中にあって、経理部門としては業務の合理化が課題となっていました。例えば支払関連業務はその一つ。教員数の増加などに伴い、ここ数年は大学から各所への支払件数が毎年約1,000件ずつ増えており、それが入金管理や募金、契約関連といったその他の業務を圧迫し始めていたのです。まさにそうした状況で導入されたのがAmazonビジネス。支払先をできるだけ集約し、請求書による一括払いを推進することが狙いでした。
Amazonビジネス導入前から、個人によるAmazonの利用は教職員の間に浸透しており、立替払いも4、5年前から相当多くなってきていました。あらゆる分野の商品が揃い、必要なときにすぐ注文できる。教職員にとって外部業者に発注するほどでないものを購入するのにAmazonはとても便利なのです。
ただ経理担当からすると、教職員の立替払いが増えれば、一人一人に対して精算のための振込業務が発生します。また業務負荷の問題ばかりでなく、精算に伴う振込手数料の総額も見逃せないものになっていました。教職員の利便性を確保しつつ、事務作業とコストを軽減できる。そうしたメリットがAmazonビジネスの採用を後押ししました。
そしてもう一つ、Amazonビジネスの導入には物品調達における“透明性の向上”という目的がありました。当然ながら大学の公費で購入が認められるのは、教育や研究活動で利用するものに限られます。しかし教員が立替払いで購入したものは、大学側が事前に確認できません。それがAmazonビジネスなら、必ず経理部門の承認に基づいて発注されます。これは教職員にとっても好都合で、「公費購入の対象かどうか」を迷うことなく、安心して注文ができるようになり、結果として立替の手間を省くことにもつながります。
Amazonビジネスの導入は、とてもスムーズにいきました。経理部門が従来から使っていた会計システムに変更を加える必要もなく、以前からあった大学の物品調達の承認フローも問題なく組み込むことができました。既存のシステムやルールをそのままに、これまで教員が個別で行っていたAmazonとの取引を一元管理できるようになったのは大きなことです。
また、過去に教員が独自にAmazonビジネスを利用して物品を購入するということが起きていましたが、これでは経理部門としても統制が取れません。そこで、公式アカウント機能を使い、「大学のメールアドレスでのAmazonビジネスの利用は財務管理のアカウントのみ」という制限をかけ、教員独自でAmazonビジネスを申し込み、利用をすることがないように統制を取ることもできました。そのほか、初期設定や教員に配布するマニュアルづくりでもAmazonのご担当にサポートをいただき、おかげさまで導入後も大きなトラブルなく運営できています。
Amazonビジネスの特徴の一つは品揃えの良さですが、単に品数が多いだけではなく、知らなかった商品に出合えるのが忙しい教員にとっては魅力です。例えば「PC用のマイク」が欲しいと思って検索すると、さまざまなタイプ、価格の商品が瞬時に表示される。店頭に見に行ったり、外部の業者に依頼したりしてもこうはいきません。分野を問わず、最新の商品や便利なアイテムをすぐに知ることができるので、よりニーズに合った品物を購入すること可能になる。これも見逃せないメリットです。
コロナ禍でも、Amazonビジネスが大いに力を発揮してくれました。フェイスシールドや医療用のベッドなど、大学としてこれまで購入したことのないものを準備するのに役立ったのです。業者を調べて、提案や見積もりを受けて、発注するとなるとかなりの労力がかかります。非常時や緊急時の調達ルートをオンライン上に確保しておくことの重要性を今回改めて実感しました。
経理部門としては、財源ごとの支払い管理が容易にできるようになり、業務の効率化が進んでいます。大学予算からの支出、科研費からの支出などを分けて管理しなければならない。そうした大学特有の事情にもAmazonビジネスは対応しているので助かります。必要なデータを抽出し、資料を作成するにも、CSVの購買データを活用できるので手作業が減り、ずいぶん楽になりました。
教職員による立替払いを減らしていくという目標も順調に実現されています。Amazonビジネスの導入から1年で、立替払いの件数はおよそ25%削減されました。立替払いを処理する際、教職員は領収書をはじめ複数の書類を用意する必要があります。経理のチェックで不備が見つかれば再提出しなければならず、これが結構な手間でした。請求書払いによってそうした一連のやりとりがなくなり、教職員も、経理部門も助かっています。
現在、教員の半数以上がAmazonビジネスのアカウントを持ち、日常的に利用しています。このツールが大学に定着した理由は、繰り返しになりますが教員と経理部門の双方にメリットがあったからだと感じます。教員にとって、必要なものをスピーディーに手に入れられる手段は重宝します。しかも、後になって「公費での購入は認められない」という事態になる心配もありません。一方で経理部門は、ルールに則った透明性の高い物品調達を推進でき、同時に事務作業も軽減することが可能になります。
初めにお話ししたとおり、経理部門の業務は幅広く、年々業務量も多くなっています。しかし目の前の支払い業務は待ってくれないため、これまでどうしても思うようには他の業務に手が回りませんでした。今後はAmazonビジネスなどのツールを賢く使うことで、支払い以外のコア業務に充てられる時間をこれまで以上に生み出していきたい。そうすることで、大学運営にさらに貢献していきたいと考えています。
学校法人神戸学院
財務部財務経理グループ
神戸学院大学
経済学部教授
(図書館・情報支援センター所長)
学校法人神戸学院
財務部財務経理グループ