“大学ならでは” の物品購入における課題解決に力を発揮
「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神とする芝浦工業大学は、2027年の創立100周年にアジア工科系大学トップ10入りという目標を掲げ、現在グローバル理工学人材の育成に力を注いでいます。また、創立100周年プロジェクトとして豊洲第2校舎の建設も進行中です。
教育、研究環境のさらなる充実を目指して多様な改革を進める中、大学運営の面では業務効率化も積極的に推進しており、財務システムの刷新はその一つです。今回のAmazonビジネスの採用もそれに連動した取り組みで、第一の狙いは伝票処理の作業負担の軽減にありました。というのも、300人を超える専任教員による物品購入の回数は多く、平均すると教員1人あたり年間70回以上にも上ります。代金の支払い方法は、個人の立替と請求書払いが混在し、経費処理にかかる時間は経理課における業務の3割を占めるほどだったのです。
教育や研究に関わる物品から事務用品まで、教員の購入先を調べたところ、1位は大学生協、そして2位が実はAmazonでした。つまり、非常に多くの教員が個人アカウントでAmazonからさまざまなものを購入していたのです。これをAmazonビジネスに移行すれば、教員の立替は不要になり、大学は請求書での支払いができる。この事実がAmazonビジネスの導入を後押ししました。
一方で、購入品の“検収作業”でも、AmazonビジネスなどのEコマースの利用促進は意味があると考えました。芝浦工業大学では、文部科学省の「研究機関における公的研究費の管理・監査ガイドライン」に則り、教員に関する予算で購入する物品は、すべて各キャンパスの「検収センター」で納品時に現物を確認(検収)しています。納品書と実際の購入品を一つ一つ照合し、間違いがないかチェックするのです。Amazonビジネスでの購入品も検収自体は行いますが、注文の履歴や取引の経過が管理部門側で明確なのが利点。不正が起きにくく、万一の際も遡って確かめられます。また注文履歴の一覧で品物の名称だけでなく画像も見られるため、商品情報の確認がスムーズになります。
加えて、今回導入の決め手となったのが「財源別の支払い管理が可能」という点です。大学ではコンプライアンスの観点から、それぞれの物品がどの財源から購入されているかを明らかにする必要があり、これが事務負担を増大させています。例えば、国からの補助金と企業からの委託研究費では管理している部署が異なるため、一枚の請求書に別の財源から購入したものが列記されていれば、それを複数の部署に回さなければならず、以降の管理も煩雑です。
それがAmazonビジネスなら、各教員に発注時“どの財源から購入するか”を選んでもらうことで容易に解決できます。具体的に本学では、「学科予算」、「科研費」、「企業受託」など10の会計グループを設け、発注者がグループ選択画面から選ぶようにしました。これによってAmazonからの請求書は財源別に上がってくる。それをそのまま担当部署に届けられるので、事務負担が削減され、帳票管理もしやすくなります。
導入後、Amazonビジネスは着実に浸透し、教員の7割以上が利用。事務部門においてもアカウントを設定し活用されています。利用者から評価の声としてよく聞かれるのは、“品揃え”についてです。特に教員は、それぞれ研究用の部品や工具などにこだわりがあり、ちょっとした仕様や形状の違いを大事にします。そのため以前は発注先が多岐にわたり、結果それが支払いや精算の手間を増やすことにつながっていました。Amazonビジネスの取扱品目の豊富さは、教員、経理担当者の双方にとって大きなメリットとなっています。
またこれまでAmazonプライム料金は教員の個人負担により支払われていましたが、大学がBusinessプライム会員になったことにより、教員は個人で費用負担することなく、無料お急ぎ便やお届け日時指定便の利用など、プライムのメリットを受けられます。購入品としては、PC関連製品や書籍、事務用品などの割合が高いのですが、多くは研究活動で必要なもの。やはりすぐ手元に欲しい場合が多いのです。専門書や洋書にも強く、大学・研究機関向けのセレクションサイトなども用意されたAmazonビジネスは、思っていた以上に大学に向いているサービスだと感じています。
経理や管財などの部署では、購買の状況がひと目でわかり、そのデータをCSVで簡単にダウンロードできる点も業務効率化に貢献しています。例えば年度末に未精算の取引がないかどうか。そうしたことも、教員に確認せずに把握することができるので便利です。今後は、購買データと財務システムの自動連携も進めていきたいと考えています。実現すれば、業務の時間を短縮でき、ミスも防止できる。経理関連の作業は大幅に省力化できるはずです。
購買分析によるコスト削減もこれからの課題です。汎用的な事務用品であれば管財課で推奨品を設定することもでき、品質、価格のバランスが取れた商品を3つのキャンパスで共通して購入すれば効果は大きいはず。Amazonビジネスには数量割引もありますし、「購買分析ダッシュボード」もわかりやすいので、購買データをしっかり蓄積し、より効果的な活用法を探っていきたいと思います。
公的な資金など厳正な管理が求められる予算で物品を購入する大学にとって、取引の透明性を確保することは極めて重要です。デジタルトランスフォーメーションが急速に進む現代社会において、教育機関の情報化も継続的な課題です。購買内容が正確なデータとして残り、可視化できるAmazonビジネスは、有用なツールの一つだと考えています。
先にお話しした文部科学省のガイドラインなども、社会の情勢や動向によって内容は変化します。具体的な対応は大学側に委ねられる部分もあり、都度新たな施策を講じなければなりません。そうしたときも、各種物品購入の基本に透明性の高い仕組みがあれば、ルールの変化に柔軟に対処しやすいに違いありません。サポート面も心強いAmazonビジネス。今後も賢く活用して、生産性の向上やコンプライアンスなどの面で役立てていきたいと思います。
学校法人芝浦工業大学
施設管財部管財課 課長
学校法人芝浦工業大学
秘書部業務システム改革室 課長
学校法人芝浦工業大学
秘書部業務システム改革室 課長補佐