当日は約80大学から125名の調達・購買業務担当者様にお越しいただき、会場は追加で席を用意するほどの熱気に包まれました。
大学を中心とする教育分野でAmazonビジネスをご検討中の方々や、すでにご利用中の皆様の交流会として開催して今回で4度目。第1部は座学で、3つの大学事例講演を中心に、Amazonビジネスの最新情報やAWS、Amazonブランド商品の紹介なども実施。
第2部は懇親会で盛り上がりました。本稿では、当日発表された3大学の事例をレポートします。
「Japan Amazon Business」の略で、Amazonビジネスをご利用いただいている大学・学校法人のかたを対象にした情報交換イベントです。Amazonビジネス導入による、学内の業務改善やコストダウンの事例共有、日々に運用のお悩みなど、参加者がリアルにお悩みを質問をしたり、知見を共有いただく交流の場として生まれました(今後、年数回実施予定)。
※今回のイベント動画のアーカイブ配信はございません。
Amazonビジネスでは、全学的なAmazonビジネス導入による業務効率化やガバナンス強化を通じて、業務効率化や経費削減を通じた教育・研究活動の発展を応援したいと考えています。そのような取り組みとして、今回は滋賀県立大学、早稲田大学に導入事例をご共有いただきます。
公立大学法人滋賀県立大学 全教員の75%が利用し、物品の立替払いが半減
滋賀県立大学は、彦根市に4学部13学科が学ぶキャンパスを構える公立大学です。「キャンパスは琵琶湖。テキストは人間。」をモットーに、「地域に根ざし、地域に学び、地域に貢献する」大学として地域とのつながりを重視。実習調査船を使って琵琶湖の水質や生物相の調査を行うなど、実践的な教育・研究に力を入れています。
同大学は、教職員が研究や業務に必要な物品の購入にあたり、すべて事前承認を必要としています。納品・検品後の支払いとなり、請求書は必須です。やむを得ない場合の立替払いは発生しますが、コンプライアンスの観点から厳しく運用しています。
この事前承認プロセスにおける執行協議が、教員側にも事務方にも負担になっていました。中嶋氏は、「執行協議にかかる案件は思いの外多く、協議になると業務量が増えます。協議の判断基準が微妙にぶれることがあり、以前通ったものが通らなかったりするケースも見られました」と振り返ります。この労力を削減するために立替払いをゆるめてしまうと、事務方が検品に忙殺されることになり現実的ではありません。
この状況を打開するため、教員側からAmazonビジネスを導入してほしいという声が多数上がるようになりました。中嶋氏自身も導入したいという希望があり、事務方で本格的な検討を開始。2021年9月にAmazonビジネスが注文単位で請求書を発行できる仕様を搭載したことで採用を決定しました。承認フローの整備やマニュアル作成を実施し、運用を開始したのは2022年4月です。
Amazonビジネスを導入した結果、立替経費精算は25%減少しました。「教員は学会参加費などがあるため、立替払いが完全になくなることはありません。物品購入に絞れば50%削減できています。事務方にとっても、注文情報機能を利用して購買管理が行えるため、検品効率が大幅に向上しました」(中嶋氏)。
この購買管理プロセスですが、Amazonビジネス導入前に少し工夫して伝えるようにしました。「購買管理」というと、発注者が「管理される」と感じられてしまうケースが出てくると想定し、「ボタンを押すだけで承認に進める仕組みですよ」と仕事が楽になることをアピールしたのです。その結果、導入は多くの賛同を得ることができました。コスト削減も加速し、法人割引や数量割引で調達コストは5~15%削減。支払事務の負担は減り、支払手数料も削減できました。
登録は希望制とし、現時点で75%以上の教員がAmazonビジネスに参加済み。すべての登録者がすでに購買を行っています。キャンパスは1か所のため、配達された物品を一旦文書集配センターで受け取って検品し、1日2回の定期便で各学部事務室へ運搬する流れとしています。
今後は、2025年度に実施予定の財務会計システムの更新に合わせて、Amazonビジネスと連携した経理事務の電子決裁と完全ペーパレス運用を目指します。
公立大学法人滋賀県立大学 事務局 財務課 中嶋 崇裕 氏
学校法人早稲田大学 スモールスタートから一気に全学展開
早稲田大学は、大隈重信の設立した東京専門学校を前身とする私立大学です。法人としては、大学・大学院に加えて専門学校や付属高校/中学を含めて、合計約5万人の学生・生徒が学ぶ大規模な組織を運営。教員は約2200人、職員は約1170人に及びます。
同法人において、物品の調達は、学部、研究科、学校、各付属機関、および本部機構などの組織単位で実施。近年、立替払いが増えてきたことに課題意識を持つようになりました。西出氏は、「本学の規約では、緊急かつ予期できない物件の購入などに係る経費についてのみ立替払いを許容しているため、規約どおりの運用となっていないとの指摘を、内部監査や外部資金の検査等で受けることがあります。また教職員が高額の支出を負担する場面も一時的とはいえ生じており、大学から業者へ直接振り込みを行わないことで不正が生じるリスクもあります」と話します。
立替払いの削減という課題と合わせて、事務方には請求データを元に一括払いにすることで事務処理の負担を軽減したいという希望もありました。そこで、Amazonビジネスの利用検討を開始し、2023年3月の初回ミーティングを経て本格的な検討に移行しました。導入へのステップとしては、一部の事務部署でスモールスタートさせ改善点を洗い出し、準備を整えてから10月に学内の全事務部署を対象にアカウントを発行しました。また教員に対しては、同年12月より希望性として、アカウント発行の受付を開始しました。2024年5月末次点では686教員へのユーザーID付与が完了しています。
本学では、発注から納品までは教員や事務担当者の個々人がそれぞれ対応します。物品の届け先も個々に指定できます。送料は、BusinessプライムUnlimitedプランに加入しているため基本的に送料無料。各自が検品後に請求書PDFを発行し、学部等の事務所へ提出します。その後予算管理箇所の事務担当者が、本学の経理システムに入力することで、支払い手続きが完了する流れとしています。なお、30万円以上の購入は見積書が必要なため見積書をダウンロード後に承認申請プロセスへと進めることになります。
最も工夫したのは、導入時に教職員に対して丁寧に説明することでした。英語のみのコミュケーションとなる教員も少なからず在籍していることから、マニュアルや申請フォームなどはすべて英語化。すでにAmazonビジネスアカウントを個人で開設している教員には、退会して大学管理のAmazonビジネスに加入してもらうようことが必要である旨、説明しました。また個人でAmazonを利用している教員の中で、大学発行メールアドレスで登録している場合には、当該アカウントを今回加入のAmazonビジネスへ移行する必要が生じますがその際に、個人が過去に購入した履歴を大学管理者側が閲覧できることにならない方法等を丁寧に案内しました。また、発注・納品と支払いの期ズレを防止するために、3月の1か月間は利用停止にしました。
西出氏は、「Amazonビジネスを始めるならできるだけ急ぐことをお奨めします。私たちの場合、すでに80人の教員が個人利用のAmazonビジネスのアカウントを取得しており、移行を促すために労力を割かなければなりませんでした。早く着手しなければ、こうした個人利用のアカウントが増えていってしまうことと思いますよ」と会場の笑いを誘って講演を締めくくりました。
学校法人早稲田大学 財務部 経理課 課長 西出 稔行 氏
国立大学法人東北大学 Amazonビジネス立ち上げ時からのユーザーが、大学DXでやっていること
Amazonビジネスが日本でサービスを開始したのは、2017年9月にさかのぼります。東北大学は、その直後に全学利用を開始しました。藤本氏は、「細かくは覚えていませんが、少なくとも2017年度中には始めています。みんな面倒くさがりで、少しでも楽をしようとするのですよ。新しいものに飛びつく文化ですね」と話します。
その東北大学は、2024年10月の改正国立大学法人法の施行をもって、正式に国際卓越研究大学に認定される見込みです。教員と職員はどちらも新しい取り組みに積極的で、デジタルでもさまざまな改革に取り組んでいます。Amazonビジネスを先駆者として活用している大学は、どんなDXをやっているのでしょうか。今回のイベントで藤本氏は、同大学のDXについて語ってくれました。
藤本氏が推進するDXは、コロナ禍で一気に進むことになりました。「3つのフリー」として印鑑フリー、働き場所フリー、窓口フリーに邁進することになったのです。
印鑑フリーでは、電子文書保存と電子署名を可能にするプロセスおよびツールの整備をはじめ、申請業務のデジタル化に取り組みました。それに伴い、ノーコード・ローコードツールを活用しています。働き場所フリーでは、オンライン会議ツールの導入などでテレワーク環境を整備しています。
そして窓口フリーでは、学生が窓口に来なくてもほぼすべての手続をオンラインで行えるようにするという目標を掲げています。国立大学法人として初となるAIチャットボットを2021年に本格稼働させ、学生からの質問にAIが答える仕組みを作り上げました。大学院入試手続きをすべてオンラインで完結できるようにしたことも、窓口フリーの一貫です。
これらの取り組みの中で、AIを随所に活用していることも特色のひとつです。契約審査にAIレビューサービスを導入したケースでは、法務関連業務を年間1000時間削減。AIナレーターの導入で会議/講演資料の動画化を進めています。現在は、汎用の生成AIを導入し、活用促進のための研修を実施するなど、さまざまな施策を展開中です。
さらに、コロナ前から継続的に取り組んでいる経営の見える化も大きく進展しています。2019年に各種KPIの算出根拠を明確化して共通の指標を作り、ダッシュボードとして可視化することに成功。その後、この仕組みをベースに、データはフルクラウドで構築した次世代経営戦略データベース上で管理するようにし、高品質なデータ分析ツールを導入してよりビジュアルなダッシュボード上に表現できるようにしました。現在は、人事の高度化にも取り組み、「才能を埋もれさせない教職協働の実現」を目指した取り組みを進めています。
なお、同大学では、こうした取り組みを加速させるために、「情報系職員」を新たに定義しました。以前は事務系、技術系の2系統でしたが、情報系職員たちは、事務-技術融合型の新たな役割を持って業務を進めています。それと同時に、組織編成も見直し従来の係制度を廃止し、新たにプロジェクト単位で動くフラットなユニット制を採用しています。
藤本氏は、「来年には、各部局から集めた資料を読み込み、資料を作るという大変な業務があります。人が欲しいのですが、大学の内部情報に詳しく、ライティングスキルのある人材を発見するのは難しいでしょうし、育てる時間もありません。というわけで、AIにやらせてしまおうと考えています(笑)。大変だから楽にしたい。これがDXです」と話してくれました。
国立大学法人東北大学 デジタル変革推進部長 藤本 一之 氏
「課題シール」で同じ悩みを抱えている参加者と交流
公演終了後に、参加者同士のコミュニケーションの場を用意しました。参加者の皆様は、名札に自組織の課題を示すシールを貼って、同じ悩みを抱えている参加者やAmazonビジネスの担当者と活発な議論を展開されていました。
最後に、第2部のネットワーキングパーティーの模様を写真と共にお届けします。
ネットワーキングパーティ―
第2部のスタートにあたり、Amazonビジネス事業本部 事業本部長 石橋 憲人氏より来場者の皆様にご挨拶させていただきました。
第2部スタート
会場はAmazon本社のカフェテリアです。Amazonビジネスの担当者を交えながら、職場をまたいだ交流を楽しまれていました。
会場の様子
Amazonビジネスの導入や利用拡大に関して個別に社員に相談
会場では、特定のニーズのあるお客様に向けて、個別相談を受け付ける場も設けました。このブースでは、Amazonビジネスのスペシャリストがお客様の悩みに直接対応し、アドバイスを行っています。
個別相談ブース
プライベートブランドの展示
会場では、Amazonで販売中のオリジナル商品の中から、大学関係者に好評なものを展示しました。
プライベートブランド体験コーナー
Amazonビジネスでは、今後も継続して、大学・教育機関の業務効率化に向けて、機能・サービス改善をしていくとともに、皆さまが情報交換をいただける機会を開催予定です。今回のイベントや取り組みにご興味があるかたがいらっしゃいましたら、担当営業へのご連絡、また以下のリンクからお問い合わせください。
2023年12月6日(水)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。
近畿大学、高崎健康福祉大学、大阪体育大学、学校法人向上学園のご担当者様より各校の取り組みについて発表いただき、
大学・学校法人にて購買にかかわる総勢100名以上の皆様が参加されました。
2022年11月29日(火)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。
初開催となる今回は、国立大学法人鹿児島大学、国立大学法人神戸大学に事例をご発表いただきました。
2022年9月7日(水)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。初開催となる今回は、国立大学三重大学、学校法人阪南大学に事例をご発表いただき、総勢56大学112名にオンラインでご参加いただきました。