初めて大学との開催。会場は青山学院大学。
2025年1月31日、青山学院大学 青山オフィスでAmazonビジネスをご利用いただいている大学・学校法人の皆様を対象にした情報交換イベント「JAB-DAI」を開催しました。5回目となる今回は、初めてユーザー様の会場をお借りしての開催です。当日は61大学から104名の調達・購買業務担当者様にお越しいただき、先着で申し込みされた希望者は、開催前に青山学院大学の検収センターを視察させていただくなど、有意義な集まりになりました。
本稿では、前編として熊本保健科学大学のAmazonビジネス活用事例と立命館大学の購買改革についてレポートします。
「Japan Amazon Business ─ Daigaku」の略で、Amazonビジネスをご利用いただいている大学・学校法人を対象にした情報交換イベントです。Amazonビジネス導入による、学内の業務改善やコストダウンの事例共有、運用の悩みなど、参加者がリアルに直面する日々の課題について質問をしたり、知見を共有しあう交流の場として生まれました。
熊本保健科学大学:7か月で実現した大学調達業務改善・ペーパーレス化への軌跡
はじめに発表されたのは熊本保健科学大学です。同校は、熊本市北区にあり、「保健医療分野の教育と研究を通して社会に貢献できる医療技術者を養成する」をミッションとした総学生数およそ1,500名の大学です。
今回は、予算管理会計システムとAmazonビジネスの連携機能を活用し、調達発注業務の見直しを行った7か月間の改善プロジェクト事例を紹介されました。
・プロジェクト活動の背景と推進
改善プロジェクトでは、業務フローの簡素化と承認責任の明確化を同時に進めたことで、Amazonビジネス発注の紙による申請・承認を廃止し、業務全体の効率化と透明性の向上を実現されました。
このプロジェクトは総務課の3名と経理課の1名を中核メンバーとし、関係部署の理解と協力を得ながら、年度後半の繁忙期を避けた4月から10月の7か月間で完遂されています。
今回のプロジェクト発足の背景となったのは、数年前に実施された予算管理会計システムのバージョンアップにより、現場の運用に即して多くのカスタマイズが施されていた機能の大部分が無効化してしまい、使い勝手が大きく低下する結果となったためです。
現場では「以前よりかなり使いづらい」との声が広がり、使い勝手の業務改善が喫緊課題となっていたそうです。
そうした中で、予算管理会計システム側がAmazonビジネスとの連携機能を無償オプションとして提供されることが決まり、すでにAmazonビジネスの取引が約2割を占めていた同校にとって、これを活用することで少しでも業務改善を進めることが現実的な選択肢として浮上したとのことでした。
当日の発表の様子
事務局次長(総務課長兼務) 平緒 泰弘氏は、「大学は、11~3月が繁忙期。入学式を終えて10月までにAmazonビジネスを予算管理会計システムと連携できれば繁忙期を避けられます。新たな活動をしやすい時期で、この期間でやりきりたいと考えました」と話します。
・課題となった旧来業務の承認フロー
従来の調達業務では、申請者がAmazonの商品ページを印刷し、紙の申請資料を作成した上で、予算管理会計システムに発注情報を登録し、伝票を印刷。
それに複数の関係者から承認印を受け、総務課がAmazonビジネスで発注を行うという流れでした。
紙による申請発注やAmazonビジネスおよび会計システムへの二重発注入力は、現場にとって大きな負担となっていたのです。
プロジェクト開始当初は、Amazonビジネスとの連携によって発注情報の登録作業を効率化しつつ、従来の紙ベースの承認フローは維持する想定だったそうですが、業務全体の流れを見直す中で、承認プロセスの再構築なくしては業務改善はできないし、これによってペーパレス化も実現できるとの認識が深まったそうです。
具体的には、承認者を所属長に一本化することで責任の所在を明確にし、申請者と承認者を必ず分離し「ひとり申請・承認」を認めないルールが設けられました。不正使用の抑止とガバナンスの強化を目的に、監査法人や監事、内部監査室などが発注データを常時モニタリングできる体制も整備し、さらに、承認判断の基準を統一するため、チェックリストの作成と判断に迷った際の相談窓口の設置もあわせて実施されています。
・システム連携後の業務改善効果
承認体制の再構成により予算会計システムとAmazonビジネスの連携に必要な設計作業も進み、10月に事務部門での運用開始、11月1日には全学での展開が完了し、ほぼ想定どおりの7か月間でプロジェクトが完了したそうです。
新たな業務フローでは、Amazonビジネス上で商品を選定すると、その情報が自動的に予算管理会計システムへ登録されます。
所属長の承認を経て自動的に発注が実行され、納品・検収が完了すると支払処理までが一貫してシステム上で進むとのことです。
この変更で、調達リードタイムは従来より3~4日短縮され、ペーパレス化により職員の作業負担も大幅に軽減されています。
また、承認依頼の自動メール通知、申請者側からも状況を把握しやすくなるなどの業務改善も進んだそうです。承認責任の所在が明確化されたことで、組織内の意思決定における透明性も高まっており、改善後はAmazonビジネスの利用率が39%とほぼ倍増していることからも、職員に支持された業務改善であったと評価されています。
出典:JAB-DAI 第5回情報交換イベント 登壇資料(2025年1月31日)
制作:学校法人 銀杏学園 熊本保健科学大学
このプロジェクトは、調達業務全体を対象とした見直しの中で、業務プロセスの簡素化とデータ連携とペーパレス化による業務改善がなされた取り組みだそうです。
事例発表された事務局次長(総務課長兼務)の平緒泰弘氏によると、「承認ルールの再定義、システム連携、関係部門との調整を一体的に進める必要があったが、段階的な合意形成と着実な作業により、7か月で全学展開できて良かった」とのこと。同校では、Amazonビジネスの連携機能が、業務改善を下支えする手段の一つとして活用されているそうです。
学校法人立命館:購買DXの一貫に調達プラットフォームCoupaを導入し、Amazonビジネスと連携
北海道、滋賀、京都、大阪、大分にキャンパスを抱え、2つの大学、4つの附属高校/中学、1つの附属小学校で学生・生徒・児童総数約 5万人が学ぶ学校法人立命館。2030年に向けた「学園ビジョンR2030」を掲げ、その一環として業務改革に取り組んでいます。事務負担を軽減し、教育と研究により多くの時間と資金を投入できる環境を整備することが目的です。
当日の発表の様子
・Amazonビジネスは購買プラットフォームにおける主要なカタログ
同校では、学園ビジョンを推進するにあたり、人事・財務・総務分野に現場業務についてヒアリングしたところ、職員が伝票処理に多くの業務時間を割いている状況が浮かび上がってきました。地理的に離れたキャンパスを抱えているため、学内便で全国から届く出金伝票を整理して財務部に提出する必要があり、郵送で届く取引先からの請求書処理にも手間がかかっていたのです。この部分の業務改革を行う価値は高く、そのためには購買プラットフォームが必要であるという結論が出ました。
購買プラットフォームには、Coupaを採用。発注・納品・請求の3つの情報を照合することで出金依頼処理を発生させる「3点照合方式」で運用することとしました。購買パターンは、大きく3つ。物品、役務サービスなどの「見積・発注起点」、Amazonビジネスなどの「Web購買」、公共料金などの「請求所起点」で、それぞれに最適なやり方で処理できるようにしています。取引頻度の高い大学生協店舗とは、日次で電子インボイスを連携し、電子請求書を発生させることで対応します。
プロジェクトは2023年1月に要件定義を開始。システム開発を経て2024年8月に運用を開始しました。
資料出典:JAB-DAI 第5回情報交換イベント 登壇資料(2025年1月31日)
制作:学校法人立命館、株式会社野村総合研究所、Coupa株式会社
新システムは、入力項目を極少化し、だれもが便利に使えることを意識して作り上げました。担当者は必要な商品をAmazonビジネスを含むカタログから検索してカートに入れ、購買申請するだけ。商品が届き検収すると購買業務が完結します。発注情報、納品情報、請求情報の3点照合はCoupa上で自動的に行われ、勘定科目も自動判定。結果はERPへと連携されます。
・業務プロセスのデジタル化で、データ活用を加速したい
学校法人会計基準に対応するために、データ連携基盤を使って内税処理を実施したこともポイントです。科目割当ロジックを開発し、教育研究経費と管理経費の仕分けをデータ連携基盤で自動化しました。この仕組みは、物品購入時の科目の自動割当や、預り金での発注・支払いの際の科目割当にも活用しています。
多くの学校法人と同様、立命館でも予算管理は厳格です。予算内の発注は必須で、予算管理システムと日次で連携して予算執行を限度内に抑えるチェック機構を働かせました。電子帳簿保存法にも対応させました。以前は紙の請求書を要求していましたが、取引先からは極力デジタルデータとして請求書をもらうプロセスに改め、スキャナ保存によるデジタル化を実現しています。こうして業務プロセスが電子化され、視覚化しやすくなったことで、分析もやりやすくなりました。今後はこのプロセスで蓄積したデータを積極的に活用していく計画です。
今回のプロジェクトでは、紙の出力および郵送、保存にかかわるコスト・業務を大幅に削減することができました。「教育と研究により多くの時間と資金を投入できる環境を整備する」目標に向けて、同校は歩みを進めています。
Amazonビジネスでは、今後も継続して、大学・教育機関の業務効率化に向けて、機能・サービス改善をしていくとともに、皆さまが情報交換をいただける機会を開催予定です。今回のイベントや取り組みにご興味があるかたがいらっしゃいましたら、担当営業へのご連絡、また以下のリンクからお問い合わせください。
2023年12月6日(水)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。
近畿大学、高崎健康福祉大学、大阪体育大学、学校法人向上学園のご担当者様より各校の取り組みについて発表いただき、
大学・学校法人にて購買にかかわる総勢100名以上の皆様が参加されました。
2022年11月29日(火)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。
初開催となる今回は、国立大学法人鹿児島大学、国立大学法人神戸大学に事例をご発表いただきました。
2022年9月7日(水)に、Amazonビジネスをご活用いただいている大学・教育機関を対象とした、活用共有会「JAB-DAI」を開催。初開催となる今回は、国立大学三重大学、学校法人阪南大学に事例をご発表いただき、総勢56大学112名にオンラインでご参加いただきました。